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『エウレカセブンAO』(エウレカセブン エーオー、EUREKA SEVEN AO ASTRAL OCEAN)は、ボンズ制作による日本のテレビアニメ。全24話。毎日放送『アニメイズム』B1枠ほかにて2012年4月から9月まで、第1話から第22話が放送され、同年11月に『エウレカセブンAO 完結編』として第23話と第24話が放送された。
概要
ボンズ制作により2005年に放送されたTVアニメ『交響詩篇エウレカセブン』の続編。前作の主人公だったレントン・サーストンとエウレカの息子であるフカイ・アオが、国家や組織の諍いに翻弄されながらも、世界各地に出現する「スカブコーラル」や「シークレット」の正体に迫っていく物語。タイトルの“AO”は「アストラルオーシャン (ASTRAL OCEAN)」を意味する略称である。
監督は前シリーズと同じく京田知己が担当する。キーキャラクターデザインの吉田健一、ニルヴァーシュデザインの河森正治などが前作から引き続き参加し、キャラクターデザインに織田広之が新たに起用されている。脚本・シリーズ構成は前シリーズの佐藤大から會川昇へ変更となった。そのためか前作と矛盾する設定もいくつかある。
ボンズの南雅彦プロデューサーによれば、前作は比較的ファンタジックな世界観であったが、共通する部分はあるものの本作では現代に近い世界観になっている。前作でエウレカらが暮らしていた星とは異なり、アオの住む世界には「沖縄」「日本」「アメリカ」などの実在する共同体の名が登場するが、「スカブ」と呼ばれる珊瑚のような物体が人類社会の営みに影響している点では共通している。作品終盤になると、成人したレントン・エウレカ夫妻とアオの親子関係や、二つの世界のつながりが明かされていく。
本作のテレビ放送時に第22話で一旦放送が終了し、最終エピソード2話を完結編として別枠で放送した経緯としては、ロンドンオリンピックの中継を挟んだ関係で2週間の放送休止が入った事情がある。このような特殊な形態での放送は『コードギアス 反逆のルルーシュ』以来となった。
チーフプロデューサー竹田靑滋は本作について、「最近、とんがった作品は少なかったが、現状の世界情勢、イランの情勢などを見ていると、アメリカが軍事行動を起こすかどうかという緊張感のある時期にスタートする作品になるので、お話としてはちょうど見やすくなる」と発言している。
テレビアニメは2012年度中に完結したが、サミーのパチスロ『パチスロ エウレカセブンAO』の稼働を記念して制作された新作エピソード「ロード・ドント・スロー・ミー・ダウン」が、2017年1月23日から3月2日までの期間に同機の公式サイトおよびYouTube内サミー公式チャンネルにて、A-part - E-partまでの全5パートが限定公開され、Youtubeでは今も閲覧が可能である。テレビシリーズ第24話の補完的な内容で、同話の結末に至るまでの経緯とその後の展開が描かれており、ファイナルエピソードと位置づけられている。2018年11月発売のBlu-ray BOXには、1本に纏められた映像特典作品として収録された。
あらすじ
西暦2025年。世界に謎の物体スカブコーラルが出現、スカブコーラルの発生エネルギートラパーを人類は多方面で活用する事に決定、プラント(プラントコーラル)を各地で展開する。それに異を唱える沖縄の磐戸島は日本から独立、その中で主人公の少年フカイ・アオは生活をしていた。彼は幼い頃より周囲の人々から迫害を受けつつも、義理の祖父、フカイ・トシオの教育でひねくれることはなく、素直で優しい心の持ち主であった。ある日アオは運び屋のガゼル一味に浜辺で遭遇。そして緑色の腕輪を拾う。
中学校の入学式当日、突如シークレットと呼ばれる怪物が現れ磐戸島を襲う。アオが幼馴染のアラタ・ナルの家に向かう途中、腕輪に「EUREKA AO」という文字が浮かぶ。それを取り戻すべく現れたガゼルと紆余曲折の末、アオは日本軍の輸送艦に搭載されていたIFO、RA272 ニルヴァーシュの元へ。IFOに乗り込んだアオは戦闘でシークレットを撃破するも染めていた髪色が地毛の青に戻る。それが元で島の人々のアオに対する風当たりは更に悪化。沖縄独立派に拉致されたアオは日本との交渉の道具になりかけるも、反発したガゼル達に助け出される。祖父の診療所の放火騒動も知ったアオはもう島で生活出来ない事を悟り、行方不明の母を探すべく、昔の母を知るイビチャ・タノヴィッチの所属する民間企業「ゲネラシオン・ブル」に入隊を決心する。
スイスにあるゲネラシオン・ブル本社へ向かったアオは、チーム・パイドパイパーの一員として、パイロットのフレア・ブランやエレナ・ピープルズ、他のレスキューチームであるゴルディロックスの面々と交流を深めていく。一方、パイドパイパーの母艦に密航していたガゼル一味はゲネラシオン・ブルの社長、クリストフ・ブランと面会、会社の下請けとして雇われることになる。アオは仲間とともに世界各地に現れるシークレットとの戦闘や、スカブコーラルの中心核クォーツの回収任務を繰り返すが、その裏では「トゥルース」という謎の人物が暗躍していた。トゥルースはゲネラシオン・ブルを生身で襲撃、日本国の情報官ナカムラに接触するなど、予測不能な行動を取る。
そんな折、宇宙空間に現れたスカブコーラルとシークレットの対処をしていたアオは、中から月光号という謎の船が現れたのを目撃。さらに母親、エウレカと再会する。母と久方ぶりに語らうアオだが彼女のシークレットは敵ではないという発言や、幼馴染のナルがトゥルースと連れだって行ってしまったことが彼を悩ませていた。そしてエウレカが未来へと消えた後、世界中でプラントコーラルが再活性化、巨人型のシークレットが多数出現し始める。重く見たゲネラシオン・ブルはこれまで収集してきた全てのクォーツを使い、シークレットを殲滅する作戦「ポラリス」を発動。しかし、作戦中にクォーツが姿を変えた銃状物体、クォーツ・ガンをアオが発射し、世界規模で歴史の改変が起きてしまう。この結果、チーム・ゴルディロックスの存在がゲネラシオン・ブルから消える。
ことの重大さに悩んだアオは自らアメリカ軍に投降、そこからフレアとエレナの手で救出される。ゲネラシオン・ブルが親会社ビッグ・ブルー・ワールドの方針に反している事に危機感を感じた世界はゲネラシオン・ブルを敵として認定、更に連合軍を結成し、ゲネラシオン・ブル本社へと侵攻を開始。その中でブランは社内に潜入したトゥルースを巻き込んで自爆、本社が倒壊してしまう。生き残ったトゥルースは会社地下に隠されていたLFO、コードネーム カノンと融合し、復活を果たす。本社から脱出したチーム・パイドパイパーの一行は日本国の協力を受け、チーム・ハーレクインとも合流。一時的にチームを抜け、連合軍にいたエレナを説得・和解したアオは、悩みながらもトゥルースとの決戦に挑む。激戦の果てトゥルースの手で再びクォーツ・ガンが発射されてしまう。
再度起きた歴史改変によりトゥルースはニルヴァーシュのアーキタイプに変化。アオは未来の世界からやって来た自分の父親、レントン・サーストンと出会う。父の口からスカブコーラルやシークレットの真実、さらに父の目的を知らされたアオは、自身の信念から父と対立。アオのニルヴァーシュ トゥルースとレントンのニルヴァーシュ specV3が激突する。
クォーツ・ガンを使ってスカブコーラルを消し去り、この宇宙を正しい世界に戻そうとするレントン。だが、母・エウレカやスカブと共生する人々のことを顧みない父に憤るアオは、それを良しとしなかった。彼は10年前のスカブバーストの所へ飛び、エウレカへ彼女の真意を悟ったこと、もう誰かや何かを犠牲にしなければならない呪いから自由になるべきだと告げ、全てを終わらせるため最後の一発となったクォーツ・ガンを撃ち、両親を未来へと送り返した。
三度も世界を変化させ、時間軸を彷徨う結果となったアオ。彼がたどり着いた世界は西暦2027年の6月。既に前の世界とは別物であり、アオの存在すらないかも知れないと話すトゥルースだが、母の背負っていた苦労に比べれば自分のことなどなんでもないと、彼の心は晴れやかだった。そしてアオはトゥルースと別れ、この世界の磐戸島へと一人降り立つ。
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