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『空の境界』(からのきょうかい)は、奈須きのこによる日本の長編伝奇小説、および同作を原作としたドラマCD・劇場アニメ・漫画作品。サブタイトルは「the Garden of sinners」。イラストは武内崇。
概要
事故により2年間昏睡状態であった少女・両儀式と、その周辺の人物を巡る物語である。
1998年10月から『空の境界式』の題名で、web小説として奈須と武内の同人サークル「竹箒」のホームページ上に掲載されたのが初出である(第1章 - 第5章まで)。
2001年、奈須と武内が所属していた同人サークル「TYPE-MOON」が製作した『月姫PLUS-DISC』に第1章 - 第4章を収録した。同年12月30日、コミックマーケット61において、関係者のみに公開されていた第6章・第7章を含む全7章を同人誌として刊行した(全2巻)。この同人誌版は当時、奈須が愛読していた講談社ノベルスへのオマージュとして講談社ノベルスに酷似した装丁が施され、カバー下の表紙には「KINOKO NOVELS」という文字と奈須の自画像が全面に印刷されていた。2007年時点で原作小説の累計部数は70万部を記録している。
2002年8月9日には、『第一章』のドラマCDが発売された。
その後、講談社ノベルスより2004年6月8日に一般書籍(商業版)として刊行された(全2巻)。同日発売された5000部限定の愛蔵版は9,800円と高価であるにもかかわらず、予約開始から約2時間で完売した。商業版では細かな校正・校閲がなされており、句読点の位置や単語など同人誌版とは違う箇所がある。また、2007年11月15日から2008年1月16日にかけて、講談社文庫より文庫版が刊行された(全3巻)。
2006年12月には、ufotableによる劇場アニメ(全7部作)の製作が発表された。2007年12月1日の『第一章』を皮切りに順次公開され、2009年8月8日には最終作の『第七章』が公開された。さらに、2010年12月18日から一週間限定で『終章/空の境界』が公開された。2013年には『第一章』の3Dアニメ版、『未来福音』のアニメーション化も公開されている。『未来福音』の来場者特典として、新作書下ろしとなる『終末録音』が配布された。
2008年8月16日、奈須と武内が数年振りに同人サークル「竹箒」としてコミックマーケット74に参加し、『空の境界 未来福音』が発売された。
2010年9月15日からは、星海社WEBサイトの「最前線」にて、漫画の連載がスタートした。
2018年に「20周年記念版」が発売。上下巻の2巻、及び『未来福音』と劇場版の来場者特典であった『終末録音』を収録した1冊の全3巻構成になっている。
あらすじ
第一章 俯瞰風景 Thanatos.
1998年9月、観布子市では少女による飛び降り自殺が多発していた。自殺した少女たちの関連性は不明で、場所はきまって巫条ビルという取り壊しの決まった高層ビルだった。両儀式はその巫条ビルの上空に浮遊する少女たちを目撃する。
そんな中、式の友人である黒桐幹也が巫条ビルに近づいたのを機に昏睡状態に陥ってしまう。暦が9月に差し掛かろうとする頃、式は幹也を取り戻すため、夜の巫条ビルに赴く。
第二章 殺人考察(前) ……and nothing heart.
1995年3月、黒桐幹也は街で一人の少女と出会った。透徹した不思議な眼差しを持った少女に、幹也は一目で心を奪われてしまう。翌4月、観上高等学園の入学式で幹也はその少女と再会する。少女は「両儀式」と名乗り、人を寄せ付けない性格であったが、幹也には少しずつ心を開いていく。
ある日、幹也は式のもう一つの人格である「織」と面識を持つことになる。自分は殺人者だと言う織に戸惑う幹也。そんな中、観布子市内では連続猟奇殺人事件が発生し、街は重苦しい雰囲気に包まれていた。
第三章 痛覚残留 ever cry, never life.
1998年7月、複数のねじ切られたような変死体が見つかるという、人間の仕業とは思えない猟奇殺人事件が発生する。そんな中、工房「伽藍の堂」の所長である蒼崎橙子に一件の依頼が飛び込んできた。
依頼内容は事件の犯人の保護、あるいは殺害。犯人の名前は浅上藤乃。殺された被害者たちに陵辱されていた少女だった。不意に痛覚を取り戻し、同時に封じられていた能力である「歪曲の魔眼」を使えるようになった彼女は、生の実感と痛みを忘れないためにその能力を使用して7人を殺害した。両儀式は藤乃の暴走を止めるため、行動を開始する。
第四章 伽藍の洞 garan-no-dou.
1998年6月、約2年間の昏睡状態から両儀式は奇跡的に回復する。しかし、目を開けた直後に見えたのは「死の線」。それが何なのかを理解してしまった式は、とっさに自らの目を潰そうとする。そんな中、一人の女性が式を訪ねてくる。その女性は蒼崎橙子と名乗り、「死の線」が見える眼の使い方を教えるといい、そして、式の別人格である「織」がいなくなっていることを指摘する。
生の実感を喪失した式は抜け殻のような日々を送るが、その式の病室に毎夜さまよってくるモノがあった。それは、織がいなくなった隙間に入り込もうとする病院にいる悪霊達だった。橙子の結界で悪霊を凌いでいたが、ある日、悪霊は霊安室にあった遺体を使って結界を物理的に破壊し、式に襲い掛かって来た。橙子から投げ渡されたナイフを使った応戦で「生きている死体」は殺したが、悪霊は今度は式の中に入り込む。しかし、それは彼女の計算の内であり、式は自らの中に入った悪霊だけを殺した。
境界式
病院で寝たきりの一人の女性。大きな痛みを抱えた一人の少女。ある少年。その眼前に、奇跡を施す男が現れる。
第五章 矛盾螺旋 Paradox Paradigm.
1998年10月、両儀式はふとしたことから臙条巴という自称人殺しの家出少年と知り合う。巴に助けを求められた式は、彼に自室を隠れ家として提供し、奇妙な共同生活を送り始める。しばらくの後、巴は自分の親殺しの罪を告白する。奇しくも蒼崎橙子から似たような事件の詳細を聞いていた式は、巴と共に臙条家のある小川マンションへ向かう。
第六章 忘却録音 fairy Tale.
1999年1月、魔術師見習いである黒桐鮮花は、師である蒼崎橙子にある事件の調査を命じられる。それは鮮花の母校である礼園女学院で、生徒の記憶が妖精に奪われているというものだった。妖精を視ることができる両儀式を連れて学院に戻った鮮花は、さっそく調査を開始する。
境界式
誤って人を殺してしまった少年がいた。このままではまずいと思った矢先、少年は衝動的にある解決策を思いつく。その直後、少年の前にある魔術師が現れる。
第七章 殺人考察(後) ……not nothing heart.
1999年2月。両儀式は黒桐幹也の前から姿を消した。そして、それに合わせるように再発する連続猟奇殺人事件。3年前、自らを人殺しと称した式。信じ続けると誓った幹也。幹也は式の無実を証明するため、殺人事件の捜査を始める。そんな中、幹也はある麻薬事件をきっかけに、高校時代の先輩・白純里緒と再会する。
終章 空の境界
1999年3月、雪の降る夜。黒桐幹也は4年前と同じ場所で、『両儀式』に再会する。
未来福音 recalled out summer
1998年8月 01_feline -August, 1998-
未来福音 Möbius ring
1998年10月 02_daylight -October, 1998-
1998年12月 03_say grace -December, 1998-
未来福音・序 Möbius link
終末録音 the Garden of oblivion
年表
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