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『ARMS』(アームズ)は、皆川亮二(原案協力:七月鏡一)による日本の漫画作品。第44回(平成10年度)小学館漫画賞受賞。
概要
週刊少年漫画雑誌『週刊少年サンデー』(小学館)に1997年16号から2002年20号にかけて連載された。単行本は小学館:少年サンデーコミックススペシャルより全22巻、少年サンデーコミックスワイド版より全12巻。2012年10月時点で累計発行部数は1500万部を突破している。
「事故」や「事件」に巻き込まれて失った身体の一部に、ナノマシンの集合体を移植され、それにより世界規模の陰謀に巻き込まれて行く少年たちの物語である。物語のモチーフとして、『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』などのルイス・キャロル作品が用いられている。
2001年には『PROJECT ARMS』(プロジェクト アームズ)と題してテレビアニメ化され、テレビ東京にて4クールにわたって放送された。『PROJECT ARMS』のタイトルは、アニメ放送後における原作のマーチャンダイジング展開でも活用されている。本作を連載した『週刊少年サンデー』と講談社の『週刊少年マガジン』がそれぞれ創刊50周年を迎えたことで企画され、様々なメディアで実施されたコラボレーション展開の際、ユニクロが発売したTシャツでも原作の絵柄と共に "PROJECT ARMS" とプリントされていた(実際にはマガジン作品とではなく、本作と同じ皆川作画の『スプリガン』とのコラボレーション絵柄で "SPRRIGAN×PROJECT ARMS" となっていた)。
原作者を同じくする『ジーザス』にて、レッドキャップスが過去に行った「スナーク狩り」の舞台は、この作品の最終エピソードの舞台であるカダスである(後に『闇のイージス』『JESUS 砂塵航路』でもその後のカダスの行方が語られる)。また続編の『JESUS 砂塵航路』において廃村となった鐙沢村が登場する。ただし、この作品とARMSは同じ世界の物語と言うわけではなく、あくまでもパラレル的な存在である。両作ともクトゥルフ神話に由来するネーミングが多い。
あらすじ
第一部「覚醒編」
主人公の高槻涼は、普通の高校生として幼馴染みの赤木カツミと共に平和な日常を送っていた。しかし、転校生・新宮隼人の出現により、その日常は崩れ去る。隼人の左腕には「ARMS」という兵器が移植されており、それは涼の右腕にも移植されていたのだった。ARMSを巡り、謎の秘密結社「エグリゴリ」が暗躍を始める。同じく両足にARMSが移植された巴武士と、エグリゴリを裏切った天才少年のアルも加え、ARMSの手がかりを探るべく、エグリゴリによって滅ぼされた隼人の故郷・鐙沢村へと向かう。そしてそこには彼らの出生にまつわる驚愕の真実が隠されていた。
第二部「邂逅編」
鐙沢村でカツミを失って以来、涼は自暴自棄に陥っていた。そこに4人目のARMSの所持者であり、カツミと瓜二つの少女・久留間恵が現れる。そしてエグリゴリに対抗する組織「ブルーメン」からの情報により、カツミが生きている可能性を見出す。しかし、エグリゴリは街全体を巻き込んだ大規模な作戦を画策していた。そして、隼人の父の仇であるキースの秘密が明かされる。
第三部「進化編」
涼にメッセージとして与えられたカツミの写真。そこにはアリゾナ州と書かれていた。カツミの行方を追うため、涼たちはアメリカに渡る。陰気な田舎町ギャローズベルで涼たちは何者かの襲撃を受ける。彼らはアルのかつての仲間でエグリゴリが生み出した天才児集団「チャペルの子供たち」と彼らが率いる「猟犬部隊」だった。武士とユーゴーを人質にされ、リーダーとして落ち込む恵。そんな彼女を謎の日本人が導く。一方、アルはオスカーからARMSの起源となった珪素生命体「アザゼル」を見せられる。だが、ギャローズベル殲滅のため、エグリゴリの幹部・キース・シルバーは自ら乗り込んできた。
第四部「アリス編」
「グランドキャニオンの虐殺」に憤る涼たちはエグリゴリへの反撃を開始する。ニューヨークに赴いた4人はエグリゴリの頭脳・サミュエル・ティリングハースト博士を拉致する。エグリゴリは博士の奪還のため、3人の刺客を送り込む。刺客の一人「牙」ことコウ・カルナギは生身でありながら、隼人と武士を圧倒。カルナギに敗北した隼人の目の前で武士が息絶える。蘇生には成功した武士だったが昏睡状態に陥る。自分を見失った隼人は仲間の下を離れる。そんな彼に“ウインド”と呼ばれる謎の日本人が救いの手を差し伸べる。
頑なに口を閉ざすティリングハーストだったが、涼のただならぬ覚悟を知り、遂に重い口を開く。彼が語るアザゼル、そして「アリス」という少女の物語。それは彼らすべてを悲劇へと導いた驚愕の真実であった。一方、眠り続ける武士は自らの精神世界を旅する。そこには武士の良く知る「騎士」「ハートの女王」そして彼らが宿敵と呼ぶ「魔獣」ジャバウォックがいた。
決戦の日が近づくにつれ、日に日に憎悪の力を増すジャバウォック。その力に怯える涼。そんな涼の背中を隼人とユーゴーが後押しする。グリーンの奮闘とバイオレットの尽力も空しく、カツミはキース・ブラックの下に連れ去られる。そして、エグリゴリ本部「カリヨンタワー」を巡る死闘が幕を開ける。
第五部「帰還編」
ニューヨークでの死闘を制し、カツミを奪還。ARMSの力も消滅し、穏やかな日常を取り戻した4人だったが、ユーゴーの死は彼らの胸を締め付ける。そんな折、来日したバイオレットの口から涼はエグリゴリの残党による不吉な噂を聞く。一方、悪夢にうなされるカツミ。同居をはじめた恵もそんなカツミを心配する。だが、カツミの中に宿ろうとしている新たなARMSは4人の日常から平穏を奪い去るのだった。動き出した「プログラム・バンダースナッチ」。始まりの地・鐙沢村でカツミを見つけた4人だったが、再び悪夢が彼らを襲う。そして、人類滅亡へのカウントダウンが始まり、涼と仲間たちの最後の戦いの火蓋が切られる。
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