新宿ゴールデン街の片隅に小さな“めしや”がある。人は深夜食堂と呼ぶ。営業時間は深夜0時から朝7時ごろまで、メニューは豚汁定食にビール・焼酎・酒だけ。あとは注文があれば、できるものなら作る。その街で生きる人、訪れる人、様々な人々がこの店に集い、心を満たしていく物語。
作中では現実の掲載年月相当の時間が経過しており(東日本大震災や、コロナ禍中を題材とした掲載話がある)、また過去の回想や後日談などで数年~十数年単位の年月が経過する事があるが、マスターをはじめ主要人物の外見が加齢により変化する描写はない。
安倍夜郎は、『ビッグコミックオリジナル』の編集者から同誌には売れ筋となる医療と食を主題とする連載が無いため、そのいずれかを描かないか薦められ、食を選んだという。物語の設定は、桂雀三郎の『やぐら行進曲』からヒントを得、マスターの語り口で物語が展開する手法は、デイモン・ラニアンの『ブロードウェイの天使』を参考にした。2006年10月12日に発売された『ビッグコミックオリジナル』第33巻第27号(2006年11月12日増刊号)に読切一挙3話掲載で初登場。それ以降、1回に2話掲載、出張宣伝漫画などを経て、2007年8月からは『ビッグコミックオリジナル』で連載している。作中には、安倍夜郎の出身地である高知県の食材が度々登場している。単行本は、朝鮮語、中国語のほかフランス語などにも翻訳された。 マンガ大賞2009で第4位になったのに続き、第55回小学館漫画賞一般向け部門、第39回日本漫画家協会賞大賞、第9回富川漫画大賞海外作家賞(朝: 제9회부천만화대상해외작가상)及び第11回ACBDアジア賞(仏: 11e Prix Asie de la Critique ACBD)を受賞した。
本作を原作に、日本、韓国及び中国・台湾でテレビドラマが、韓国でミュージカルが、台湾で舞台並びに朗読劇が、日本及び中国で映画が制作された。韓国では、本作に影響を受け深夜食堂の看板を上げる実店舗が複数軒営業している。