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通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか? 4
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あらすじ
カジノで大負けし、景品になってしまったワイズ、ポータ、メディを救うため、お金を稼ぐことになった真人。バニーガールになった真々子は、カジノでロイヤルストレートフラッシュを連発して、楽々大稼ぎ!?
Wikipediaの情報
『通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?』(つうじょうこうげきがぜんたいこうげきでにかいこうげきのおかあさんはすきですか)は、井中だちまによる日本のライトノベル。イラストは飯田ぽち。が担当。2017年1月から2020年4月まで富士見ファンタジア文庫 (KADOKAWA) より刊行された。略称は「お母好き」(おかすき)。本作のテーマは「親と子の問題」。 第29回ファンタジア大賞大賞受賞作品。「次のヒット作はこれだ! 新作ラノベ総選挙2017」(ブックウォーカー)では8位を獲得している。2019年12月時点で電子版を含めたシリーズ累計部数はで80万部を突破している。 メディアミックスとして、2017年9月から2021年1月まで『ヤングエースUP』 (KADOKAWA) にて冥茶によるコミカライズが連載された。また2019年7月から9月にかけてはテレビアニメが放送された。
あらすじ
1巻 主人公・大好真人は若過ぎる見た目の実母・真々子を「母親」と思えず苦手意識を持っていた。典型的な思春期の息子だったことと、学校で行った内閣の匿名アンケートに名前を書いてしまい特定しやすいということから内閣府の調査員・白瀬真澄に目をつけられ、開発中のオンラインゲーム「MMMMMORPG(仮)」のテスターとして強制参加させられてしまう。謎の技術によってファンタジーなゲーム世界へと連れてこられ、これから始まる冒険に胸を躍らせる真人だったが、実はこれは母親同伴という条件付きだった。目的は母子の仲直り。そのため母子同伴という条件がついていた。 ゲームやファンタジーモノの「お約束」を知らない真々子に真人は頭を痛めつつ、常道に乗っ取って仲間を募集した結果、真々子による面接が行われることに。テスターである旅商人のポータと(自称)超絶賢者のワイズが一行に加わった。 我侭で怒りっぽく自分勝手なワイズに手を焼き、時には即死魔法で殺されつつも互いに理解を深めていく真人。そんな折、同じくゲーム世界へダイブした白瀬真澄(以下シラーセ)からママン村でのクエスト(村長の依頼)を紹介される。夜の女帝なる人物が村や都市から美青年たちをかどわかしており、救出を頼みたいという。 夜の女帝の正体はワイズの実母であり、魔法によって妖艶な美女に変化したものだった。ホスト狂いで給食費まで使い込んだことから離婚され、ワイズの親権も父親に移っていたが、娘との仲直りを望みこのゲームへ参加した。しかしチートによる特殊能力を手にしてしまい、欲望のまま行動するようになったため娘と袂を分かってしまっていたのだ。 いち早く夜の女帝と遭遇した真人とワイズは交戦を開始するが、圧倒的な力の前に窮地に陥る。しかし駆けつけた真々子の力により劣勢を覆され、女帝は撤退。ゲーム内には存在しない不可思議な場にて、新たなチートを授かり怪物を従えて再戦するが、これも真人たちの手によって破られ、最後は真々子の一撃によって女帝は倒れた。正気を取り戻した後、ワイズ母子は一応の和解を迎えた。 実はこのゲームの目的は「母と子」の問題を解決することにあった。シラーセは、真人たちの活躍を見守りつつも女帝に力を与えた何者かの存在に疑念を抱いていた。 2巻 真人とワイズは悩んでいた。真々子があまりにも強過ぎて自分たちの存在意義を失いそうになっていたからである。そこで真人は強化アイテムが手に入るという学園の試験運用クエストを受けることに。しかし真々子もセーラー服に身を包み、見た目はJK、立場は母のままついてきてしまう。そこで真人たちはメディとメディママの母子と出会い、学園の報酬を賭けて対立することになる。娘を一番にしようと画策するメディママは様々な手を講じて真人たちの妨害を行うが、メディ自身には争う意志はなく友達になることを望んでいた。メディに一目惚れしていた真人はなんとか彼女に近づこうとするが、時折見せる暗いオーラの前にメディが抱えるダークパワー(負の感情)を知ってしまう。 実はメディは母によって自由を奪われ、ひたすらに一番になることを強要されていた。彼女が抱くダークパワーとはそんな母に対する不満から来るものであった。それでも母親を信じていたメディだが、「娘が一番になれば自分は最高の母親になれる」というメディママの本心を知り暴走してしまう。コンフォルテの杖の力によって巨大な竜メディドラゴンに変化し、敵も味方もなく破壊の限りを尽くす。 そんな中、メディママは真々子の上級スキル【母の御言葉】により、妄執から解き放たれ娘の説得を行うが、既に話が通じる状態ではなくなっていた。しかし、メディを救いたいという一心で振るわれた真人の聖剣は、メディを傷つけることなくドラゴンとしての部分だけを切り裂き彼女を解放させた。 正気を取り戻したメディママから娘のことを託され、こうしてメディは正式に真人たちの仲間として加わることとなった。メディママも元々は「立派な娘に育てたい」と願う母親だったが、手にした謎の杖の力により正気を失っていたことが判明する。 ゲーム内に存在しないはずの杖を見たシラーセは、何者かが「MMMMMORPG(仮)」の運営を妨害しようとしていると推測した。 3巻 海辺の町チャンカーへとやってきた真人一行。目的は頂上に到達すれば(ある程度の制限付きで)どんな願いも叶えるという「ソロゴロシの塔」にあった。大所帯で挑むことを前提にしたダンジョンだったが、既に町中の腕利きたちは謎の少女アマンテの手先になっており、真々子になぜか敵意を燃やすアマンテは真人たちの妨害を行おうとする。彼女は自らを「反抗組織リベーレの四天王」と名乗った。先兵としてチャンカーの荒くれ筆頭ポッチが仲間を率いて真人たちの前に現れるが、真々子の母親として魅力の前に全員戦意喪失し、母親たちのもとへと帰って行った。彼らは元々は母親と喧嘩したことで家出をし、その際にアマンテに勧誘された。 ポッチたちは母親と和解し真人たちに協力することを約束する。しかしポッチたちではなく、ポッチたちのお母さんたちが真人たちに協力することとなり、一行は【お母さんギルド】を結成。ソロゴロシの塔へと挑む。またもやアマンテが妨害しようとするが偶然と幸運が真人たちに味方したことでことごとく失敗に終わる。そして「落とし前」をつけるためにアマンテに反旗を翻したポッチたちだったが返り討ちに遭い、モンスターへと変貌させられてしまう。真人一行の前に変わり果てた姿で立ちはだかるが、真々子の力と母親たちの愛情によりポッチたちは人としての姿を取り戻し、ポッチたちを操っていた魔法円も真人によって破壊された。 その後、アマンテと直接対決となる。彼女はあらゆる攻撃を反射する能力を持っており真人たちを寄せ付けない強さを見せるが、真々子の新スキル「めっ」によって放たれた光線までは反射できず追い詰められる。最後の手段として塔の頂上にて「すべての母親の消滅」の消滅を願おうとするが、咄嗟に願いを答えた真人によって「産み立て新鮮卵を人数分くれ」が叶えられてしまい失敗に終わる。戦意喪失し逃げたアマンテは他の仲間たちに連絡を取り作戦の失敗を告げるが、散々こき下ろされた挙句目的地とは反対の馬車に乗ってしまい、仲間と合流もできないままハハウェにまで行ってしまうことになった。 一方そのころ、チャンカーでは真人たちの活躍を称えポッチたちが石像を建ててくれたが、石像に刻まれた文章が「母親だらけのお母さんギルドに堂々と加入していた少年という意味で、勇者」と恥ずかしいものだったため真人は次の冒険を急かし、一行はチャンカーを発った。 4巻 ある日、真人たちのもとに差出人不明のチラシが届く。四天王アマンテを倒した褒美として、商業都市オカンヤーデのカジノに来れば多額の報酬を支払うというものだった。ワイズとメディは真々子の相手を真人に押しつけ、ポータを連れて3人でカジノへ行ってしまう。しかしそれは、リベーレ四天王「母蔑のソレラ」が仕掛けた罠であった。彼女が持つ「ステータス大幅低下」のスキルにより運が下がったワイズたちは、カジノで負け続け(ポータは唆されて鑑定スキルでインチキの片棒を担がされ、メディは八つ当たりでスロットを破壊してしまい)、多額の借金を背負ったことで景品にされ、その間は返済のためバニーガールとして働くことになってしまった。事情を知った真人と真々子は3人を助けるためにカジノに挑む。ソレラのスキルの前に真人は大敗を喫するが、真々子が新たに獲得した「甘母」のスキルによってカジノの難易度が甘々になったことで大勝ちとなり、ソレラとのギャンブルでも圧勝。ありえないほどの幸運を見せつけられて負けたソレラは泡を吹いて気絶した。こうしてポータの借金は支払われ解放された。その後、ワイズは居合わせたアマンテと人気取り対決を行う。騒動に乗じてメディが賭けを始めたことで資金が集まり、ワイズとメディは自力で返済した。 しかし、ソレラの狙いはポータの「保護」とNPC思考制御プログラム「アルザレ」を用いた実験にあった。シラーセによれば、何者かによって運営から盗み出され、アイテムとしてゲーム内に具現化したという。オカンヤーデの母親たち(NPC)をカジノの地下闘技場に呼び込み、そこでギャンブル対決を行わせギャンブル狂に仕立て上げていた。子供たちも別室に閉じ込めて幽閉し、賭けるものがなくなった母親に「母子であることをやめる(互いに親子と認識しなくなる)」ことを条件に賭けを受けさせる。ソレラは家事や育児に自信のない母親たちをギャンブル漬けにし、破滅させて楽しんでいた。そこへアルザレを奪還しに来た真々子とポータの活躍によって母親たちは正気を取り戻し、ソレラに反旗を翻す。ワイズとメディも合流し、カジノの副支配人の協力により闘技場のステータスアップシステムを利用。真々子や母親たちのステータスをアップさせソレラを追い詰めていく。別行動していた真人もアルザレを守っていた金色のスケルトンを破り、ソレラとの決戦に合流。手詰まりになったソレラは、ダークパワーを発揮したメディに恐怖をきたし逃げ回っていたところ真々子と遭遇。真々子の説得に一度は耳を傾けそうになるが、母親を蔑むという心は晴れず最後まで抵抗を試みる。その結果、スロットを回してしまい大当たりを出し、大量のコインが頭上から降ってきて押しつぶされそうになるが、間一髪で駆けつけたアマンテに救われ、そのまま撤退していった。 副支配人の正体はオカンヤーデの地底都市を漂う霊魂(神のような存在)だった。自分ではソレラに対抗する力がなかったため、ワイズとメディに協力を要請した。手に入れた大量のコインは真々子の提案により、すべてのカジノに新機能が搭載されるという形で使用された。その機能とは、母親がギャンブルにのめり込み過ぎたら子供が目の前に現れ、子供がギャンブルにのめり込み過ぎたらバニーガール姿の母親が現れるというものだった。お互いが側にいれば無茶な賭け事はしないという真々子の配慮だった。しかし真人は、母親と強制的に同伴するカジノにしたことで子供たちからの逆襲を危惧し、早く町を出るように促す。 5巻 真々子はシラーセの誘いにより天下一母道会に出場することになった。出場理由はゲーム内での母子の印象的なシーンを自動撮影するアイテム【親子アルバム】が優勝賞品であるためであり、真々子は予選を一位で突破。彼女を含めた16人のお母さんたちが本選出場を果たし、天下一の母を競い合うこととなった。真人たちはシラーセの計らいによりボランティアスタッフとして会場に入り、真人は実況と解説、ワイズ、ポータ、メディは他の母親の子供たちを子守りすることとなった。 出場者たちは揃って真々子をライバル視する。実は真々子は、話題沸騰中のゲーム内雑誌「MAMAN」の創刊号でインタビューを飾ったことですっかり有名人になっていた。 だが、出場者の中にはリベーレ四天王のアマンテとソレラが潜り込んでいた。二人は肩車をして銀色の布を被ることで正体を隠し、不審母ソレンテという偽名を名乗って真々子に接近。前回の雪辱を果たすべく様々な妨害工作を講じるが、いずれも真々子の勝利を後押しする結果になってしまった。真々子は順調に準決勝まで勝ち進み、4人の選手によるバトルロワイヤル(お弁当作り)に参加。そこで真々子はソレンテに一騎討ちを提案する。ソレンテは前回の試合で真人のシャツを綺麗に洗っており、それで真々子は対抗意識を燃やしていた。半ば強引に流されるままソレンテは真々子と対決し、新たに生み出した必殺魔法母封印(シジーロ・マドレ)で真々子を幼女化させてしまう。だがしかし、真人たちのフォローにより真々子はお弁当を完成させる。真々子とソレンテのお弁当を真人が食べ、どちらが母のものか当てるという方式で決着を行うこととなった。真人が「母の味」をわからないはずがなく、あっさりと当てたことでソレンテは敗北。正体を現すとNPCを操るアイテムで反撃を行おうとするが、そこへ謎の母HAHAKOが放った「めっ!」によりアマンテとソレラはどこかへ吹き飛ばされてしまった。 こうして決勝戦は真々子とHAHAKOの一騎討ちとなった。なぜかHAHAKOは真々子と瓜二つの容姿をしており、真人に対して「母親」を名乗り始める。シラーセが言うには、HAHAKOは「MMMMMORPG(仮)」のメイン・システムが「母親」になりたいという憧れから真々子を模倣して生み出した存在だという。今や真々子はこの世界の有名人。HAHAKOは真々子を理想の母親としてエミュレートし、「母親」になるため子供を欲していた。 そして迎えた決勝戦。真人たちはアマンテ、ソレラの妨害を阻止するべく会場の外で迎え撃つ。ワイズたちは子守りを経験したことで少なからず「母親」に近づいたことで新たな力を引き出していた。真人もまた真々子の役に立ちたいという想いから召喚獣を呼び出すに至り、モンスターの軍勢を駆逐していった。そんな中、始まった決勝戦は「戦闘」というルールで行われていた。HAHAKOの猛攻の前に会場が崩壊の予兆を見せたため、真人はワイズたちに場を任せ、真々子のもとへ向かった。一方、ワイズはアマンテと、メディはソレラと対決。ワイズは思いつきで反射魔法を使い、アマンテが反射した魔法をさらに反射するという奇策で反射能力を破る。メディもまた最強のデバフを立て続けにかけられるが、「優秀であること」を母親に植え付けられていたため、「能力の低下=優秀ではなくなる」ことからフラストレーションが溜まり、それによって凄まじいダークパワーを生み出しデバフを無効化。ワイズとメディはそれぞれ優位に戦いを進める。 一方、HAHAKOは真々子の仕草から能力まで完璧に模倣し、その力を以て一方的に真々子を追い詰めていた。真人が駆けつけた際には、HAHAKOは「大好真々子は最強だり、最強である自分が真人の母親」と主張。しかし、真々子から「子供と積み重ねたものがない」ことを指摘され暴走。HAHAKOは周囲の子供たちを洗脳することで我が子として迎え、「母親」になろうとする。出場者の母親たちは一致団結してそれを阻止に回る。必死で「母親」になろうとするHAHAKOの姿を見た真々子と真人は、攻撃して倒すのではなく説得を決意。真々子が持っていた母子手帳は二振りの剣に変化し、真々子は親の剣ジェニトーレと子の剣フィーリオを手にし、奥義「お母さんとマー君のメモリアル・エイ」を放つ。それは敵を倒すための力ではなく、波動に乗せた「母子の想い出」を伝えるものだった。真々子と真人の想い出を垣間見たHAHAKOは、ついに自分が母親ではないことを認め戦意喪失。真々子から「いつか本当の母親になれる日が来る」と励まされ、姿を消した。そしてHAHAKOは、母親になるために子供の姿を探し求めた。 アマンテとソレラは騒動に乗じて撤退し、去り行くHAHAKOの姿を見送る。リベーレを束ねるマスターからの言葉により、「ポータに手を出さなければ捨て置いて構わない」と指示を受けた。マスターがポータに固執する理由について「身内だからではないか」と推測する。そして戦力増強のため、四天王の三人目と合流するべくその場を後にした。 一方、真人はこれまでの活躍により他のお母さんたちから人気になり、ちやほれされていた。いずれも「息子にしたい」という母親たち。そんな真人にやきもちを焼いた真々子は【母のやきもち】を炸裂させ、真人にキスを要求。真人は仕方なく母の頬にキスをする。実は仲間たちがこっそり覗き見しており、真人がそのことに気づいて発狂するまで秒読みとなっていたりする。 6巻(短編集+書下ろし) 真々子との会話により真人はこれまでの冒険の軌跡を思い返す。ワイズ、ポータと出会ったころに戦ったゴブリンたち、メディを仲間にした後に行った真々子の一日教師。いずれも真々子の母性と実力を知らしめる結果になったため、真人としては面白くない内容だった。 そんな中、特売のためカーサーン王国の首都へ戻った一行はシラーセからの頼みで母子問題のサポートを担当することになり、「お母さん屋」を開店することになった。カーサーンの女王ジョオー・オブ・カーサーン、王子オウジ・オブ・カーサーンと立て続けに王族の依頼をこなしていると、一般家庭の母リーネから娘モーネの過剰な甘えをどうにかしてほしいと頼まれる。ワイズ、メディが説得に乗り出すが失敗。脇腹をくすぐられて失神してしまう。そこで真人がリーネの気持ちを代弁し、いつまでも母離れできないと自立を妨げることになると説得する。こうしてモーネは母に甘えることを控えるようになったが、「甘え」が枯渇するとブラックホール化し、周囲のものを手当たり次第引き寄せ破壊してしまう体質の持ち主だった。実はモーネの正体は魔神マムモーネといい、本来なら最強の敵キャラとして実装されるはずだったが、ストーリーの製作に遅延が生じたため一般家庭の娘として固着された。モーネは真人に甘えることで衝動を鎮めた。以後、モーネは真人に好意を覚え「真人君の彼女」を自称するようになった。 その後、モーネに店を任せていたところ、真人たちは多数の客でごった返す様を目撃する。これはリベーレ側の策謀だった。お母さん屋の話を聞きつけたアマンテは、事前に「悩みを解決できなかったら大好真々子は母親をやめる」というビラを町中に撒いていた。それを知った真人たちは、リベーレの陰謀を叩き潰した上で完全勝利すると意気込み始める。すると、今度は運営側の人間から依頼を受けることになった。依頼人は「MMMMMORPG(仮)」のデザイン担当のイラストレーター・鈴谷里香だった。母である鈴谷加奈子を無理やり連れてきてゲームにダイブしてきていた。そこまでしてここへ来た目的は、自分が描いた理想の王子様と結ばれることにあった。こうして巻き込まれた真人たちは、里香が幸せになれるようにサポートすることになった。オウジ(王子)に相談したところ、オウジ自身は戸惑いながらも乗り気であったが、女王が認めないという。しかし真々子のスキルによりあっさりと陥落し、お見合いパーティを開くからその場で話し合うように譲歩される。 しかし、肝心の里香がいざ王子と対面すると緊張してしまい、何も言えなくなってしまった。見咎めた加奈子は娘の背中を押し、二人を引き合わせるのに一役買った。実はオウジは、造物主である里香を女神のように愛していた。加奈子もいい歳して夢見る乙女を続けていた娘に呆れていたものの、自身も若いころは同じ夢を見ていたと本心を語る。内心では娘に嫉妬していたが、真々子から「子の幸せを願うのは母親だから」と告げられたことで素直に娘の幸福を願うようになっていた。 こうして晴れて両想いであることが判明し、お見合いパーティは成功に終わった。しかし、まだ一つだけ問題が残っていた。王族が結ばれるには「試練」を乗り越える必要がある。真人たちは里香とオウジの護衛として王城の地下ダンジョンへ足を踏み込む。そこでは「試練」という名の粘土人形が待っていた。彼が提示したのは人とNPCという次元の壁を乗り越えること。オウジとモーネ、里香と真人。両者を隔てる壁は「一般的な共通認識として倫理的にも超えてはならない一線」であり、如何なる力を以ってしても壊すことはできなかった。だがしかし、真々子が母親特殊スキル【母の後押し】を用いたことで真人と里香はあっさりと次元の壁を越えてしまった。これは、加奈子が娘の背中を押したことをヒントに真々子が会得した新スキルであった。試練を乗り越えたことでオウジと里香は正式に婚姻が決定し、ジョオーは母として二人の仲を後押しし続けると誓った。 そして迎えた結婚式当日。滞りなく進行するウェディングセレモニーだったが、誓いのキスを交わすというところでアマンテとソレラが乱入。結婚式をぶち壊しにすることで真々子の転落を計っていたが、実はこれは二人を誘き出すための偽装結婚式だった。まんまと罠に掛かった二人は真人の思わぬ成長に苦戦を強いられ、撤退を計るもそれを見越していた真人に阻止されてしまった。最後は真々子の「めっ」によって空の彼方まで吹き飛ばされてしまうのであった。 しぶとく生き延びたアマンテとソレラだが、今度はHAHAKOに追い回されることになった。HAHAKOはシラーセから「母親のいない子供を探してみては」とアドバイスを受けており、二人に子供がいないと知ると母親になると申し出てきた。母親の存在を否定するアマンテとソレラ、母親になりたいHAHAKO。両者の鬼ごっこはまったく終わりそうになかった。 7巻 MMMMMORPG(仮)の世界に新たなるワールド「ゴボドーランド」が実装された。今までは東京サーバーを用いていたが、このゴボドーランドは新設された愛知サーバーに実装された自然の楽園。早速向かった真人たちは、そこで獣人たちに捕まり歓迎イベントに強制参加させられてしまう。クリア特典として各々が武装を手に入れる中、真々子はリゾートへの参加券を獲得。一行は飛空艇を用いてリゾート地へと向かう。しかしここでトラブルが起きた。ワイズとメディの悪ふざけで操舵輪が壊れ、更に横風に煽られて船体が傾き墜落。一行は無人島へと投げ出されてしまった。しかもアイテム類が入ったポータのバッグまで紛失してしまい、真人たちは丸腰のまま未開のジャングルで過ごすことに。 しかしそこはチート持ちの真々子。武器がなくとも母なる大地と大海の力で次々と島内を改造し、リゾートに作り変えてしまった。だがこの島にはある秘密があり、それを守るためにアマンテとソレラは真人たちを追い払おうとする。数々の策を弄したもののすべて失敗に終わり、真々子たち女性陣は敵の存在に気づくことなくリゾートを満喫する。一方、母親との差を見せつけられた真人は力不足を痛感していた。そんな時一人の少年と出会う。彼の名はフラテロ。巨体を誇る角カエルも一撃で吹っ飛ばす力の持ち主だった。二人は幾度となく遭遇し、そのたびに友情を深めていった。 真々子一行の様子を窺っていたアマンテとソレラは、リゾート開発に巻き込まれいつのまにか蔦に絡まって戦闘不能となっていた。そこを見つけたワイズ、メディらにお仕置きされそうになるが、突如現れた「四天王の三人目」-フラテロによって阻止される。しかもこの時のフラテロは、真人と話した時とは別人のように冷酷な口調であった。彼は真々子を一撃で吹き飛ばしてしまうという規格外の「力」を見せつけ、一行が呆気にとられている間にアマンテとソレラを助け出し姿を消した。幸か不幸か、単独行動をとっていた真人はフラテロのもう一つの顔を知ることはなかった。 その後、真人たちの武具がアマンテらの手に渡ってしまう。それを知ったシラーセは二人を騙してビーチバレー対決に引き込み、ワイズ、メディの両名と試合をさせる。その間にバッグはポータの手に渡った。しかし試合自体はワイズたちの劣勢となり、危ういところで真々子が参戦する。だが武器がないため母親の力が上手く使えず、リゾート開発の疲労により本調子と言えない状態だった。真々子が追い詰められる中、窮地に駆け付けたのはHAHAKOだった。彼女の参戦で形勢は逆転され、魔法を用いたビーチバレー対決に敗れたアマンテ、ソレラは戦闘不能となった。 試合後、一行はシラーセの口から実はこの無人島にはリベーレのアジトがあるということを聞かされる。アマンテたちはこの秘密を守るために真々子らを追い払おうとしていた。しかもマスターなる人物の力によって母親の力が阻害されているという。一方、真人はフラテロから「力」の使い方を伝授してもらえることになり、パワーアップの予感にそわそわしていた。しかし、フラテロの正体はリベーレ四天王の一人「母脅のフラテロ」だった。しかも男ではなく女の子であった。彼女は「女」を侮蔑しており、真人の前では男を名乗っていた。真人がフラテロの正体に気づいた時には、既にリベーレのアジトに案内された後であった。騙されたと思った真人だが、フラテロも真人の正体は知らず本心から力を伝授させようとここに連れてきたことが判明する。そこへアマンテとソレラが現れ、異次元の牢獄に幽閉された真々子たちの姿を見せる。真々子たちは真人の後をつけたことでリベーレのアジトに入り込んでしまい、強制転移によって「THE END OF 母(Eternal Housework Edition)」という異次元の部屋に飛ばされていた。だが真々子は自力で罠を破って脱出。罠の調子を見に部屋に入ったアマンテとソレラがうっかり閉じ込められることとなった。残されたフラテロは真々子と対決するが、彼女の力の正体は「母親に対する攻撃力アップ」。つまり「母を傷つけるための力」だった。吹き飛ばされた真々子は新たなる罠に掛かり、ワイズとメディと共に隔離されてしまった。母親を傷つけられたことで怒りが爆発した真人はフラテロと対決する。「母を傷つけるために戦う」フラテロの前に苦戦を強いられるも「母を守るための想い」によってフィルマメントの力を解放し、一騎討ちに勝利した。直後、リベーレのマスターなる人物が真人たちに声を届けてきた。真々子たちに計画を邪魔された怒り、失態続きの四天王に対する失望。これらの想いからマスターは無人島を鎮め、真人たちを葬ろうとする。そこへ駆けつけたHAHAKOによって四天王は救出され、一行は真々子の力で作り上げた「船」に乗って脱出しようとする。しかし、弱った真々子では思うようにいかず失敗に終わる。というところで真人のフィルマメントがより強い力を解放し、島内の人たちを船へと引き込み、一行は無人島を脱出した。大活躍を果たした真人だが、「母親に関連したこと」でなければ力を使えないことを知って愕然とする。 無人島が消えた後、HAHAKOに助け出されたアマンテ、ソレラ、フラテロは、自分たちがマスターに切り捨てられたという事実を受け入れられないでいた。そんな彼女たちを見捨てないとHAHAKOは抱きしめ、嫌がる3人はマスターに助けを求めるが声が返ることはなかった。 8巻 ある日、お母さん屋に不可思議な依頼が殺到した。子供が急に大人びた態度を取るようになる、母親の存在や介入を否定するような言動を見せるようになったという。真人たちが調べたところ、それはリベーレが配ったバッジの効果であることが判明。一行はバッジの回収に向けて動き出す。そんな中、ポータは冒険者ギルドに出回っていた手配書を見て驚愕。そこに描かれていたのは、紛れもなく自分の母親であった。ポータは母が持たせてくれた防犯ブザーを用いて呼び出そうとしたが、現れたのはリベーレ四天王の三人だった。実はポータの母・堀田佐央里は、「MMMMMORPG(仮)」のプロデューサーを務める一方で、冥母ハハーデスと名乗ってリベーレを組織していた。彼女が指名手配されたのも、運営側に悪事が露見し「MMMMMORPG(仮)」の世界に逃げ込んだからであった。ポータは母を守るべく四天王の一員に加わることを決意。真人たちと袂を分かった。だが母を一心に思うポータの気持ちは冥母に届くことはなく、冷遇をされる扱いを受けてしまう。 真人たちは四天王の三人からポータの離反を聞き、連れ戻すべくHAHAKOの導きによってハハーデスの城へと乗り込んだ。だがHAHAKOはハハーデスの「プロデューサー権限」によって束縛され、真々子はトラップによってお母さん屋へと飛ばされてしまった。 一方、四天王の三人はハハーデスにアジトを沈めた一件について詰問していた。返って来た答えが誠意のない謝罪と中身のない言いわけだったため、三人は反意を抱く。だがハハーデスのスキル「下取(トレイディンヌ)」によってそれぞれのチート能力を奪い取られてしまう。 真人、ワイズ、メディの三人の前にポータの罠が立ちはだかる。一行はこれを打ち破り、ポータとの戦いを得て話し合う機会を持つことに成功。真人は、母を想うポータの気持ちを尊重することを告げ、和解の手を伸ばす。それを受けたポータは、もう一度母に会って自分の気持ちを伝えることを決意する。 一方、HAHAKOはハハーデスと対面していた。そこでHAHAKOは「親がいなくても子は育つ」と告げられ、自らの存在意義に疑問を抱いてしまう。ハハーデスは、戦意を失ったHAHAKOを置き去りにしてその場を立ち去った。今やリベーレのバッジは「MMMMMORPG(仮)」の各地に配られ、世界規模で影響を与えるほどになっていた。すべてはハハーデスの狙い通りに進行していた。 お母さん屋に戻った真々子は、シラーセと合流していた。そこで聞かされたのは、世界各地で大地や海が陥没するという怪現象だった。実はHAHAKOの負の感情が「MMMMMORPG(仮)」という一つの世界に影響を与え、異常な現象を起こしていた。この事実を知らないシラーセは、バッジによって豹変した子供たちに、母親が拒絶されたのが原因だと推測する。そんな折、運営側から二人の助っ人が真々子たちの前に現れた。ハハーデスを捕縛する協力者としてやってきた和乃とメディママである。そこでシラーセは、ジョオーの協力のもとアイドルユニット「OKA3」を結成。真々子を一号、和乃を二号、メディママを三号に据え、自らは白瀬Pを名乗り、親離れした子供たちの心を戻すことで世界を救おうとする。そして真々子、和乃、メディママは世界を救うついでに子供たちに会いに行こうとしていた。 ママン村では温泉が冷え切ってしまうという事態に見舞われていたが和乃の活躍によって元に戻った。ジョコ・アカデミアでは反乱を起こした子供たちによって教師が追い出されたが、メディママの機転によって解決。最後に訪れたソロゴロシの塔でも若手冒険者たちによる暴動が起こっていたが、ポッチたちの協力によって最上階で願い事を叶えることができた。それはOKA3のライブ配信を全世界に送るというものだった。世界中に届いた3人の母の歌は、子供たちを呪縛から解放し母子の絆を取り戻させた。そしてその絆が起こした奇跡によってハハーデスの城への道が開かれた。 城の前に佇んでいたHAHAKOは、真々子たちに「親はいなくても子は育つ」ことについて問うた。その質問をあっさりと肯定した真々子たちだが、子供たちに会いたいという素直な気持ちをHAHAKOに語る。母親という存在がどういうものか知ったHAHAKOは迷いを捨て、再び真々子たちに協力する。 その頃、真人たちはハハーデスの玉座に辿り着いていた。ポータは母を愛する想いを伝えるが拒否され戦いとなる。ハハーデスはモンスタークリエイションによって無数の武器を結合させ、ブグノアシュラを創造。自らはその中に引きこもり、真人たちに襲い掛かる。強大な力の前に劣勢を強いられる真人たちだが、各々の力を合わせた結果、ブグノアシュラを撃破。ハハーデスを引きずり出した。そこでようやくハハーデスは、自らの本心を吐露した。プロデューサーとしての仕事が忙しく娘と接する時間が持てないこと、そんな自分を無様な母親と考えていたこと、そして「MMMMMORPG(仮)」の世界で「一緒に冒険する母子」に嫉妬していたことを明かした。リベーレを組織したのもそういった感情からだった。行き場のない負の感情は増大し、今や目的は、自らを含めた「母親」という存在を消し去り子供たちだけで幸せに生きられる世界の実現へと変わっていた。そこまで語り、自暴自棄になったハハーデスは毒薬を煽って自ら命を断とうとする。だが合流した真々子たちとポータによって救われ、真々子から「子がいなければ親は育たない」と諭される。ポータもまた今度は自分が母を育てると宣言。堀田佐央里とその娘・堀田萌子は一から母子関係をスタートさせることとなった。 ハハーデスを暴走させたのは「母子」という関係そのものだったが、そんな彼女を改心させたのも「母子」であった。 こうしてリベーレは事実上崩壊。「MMMMMORPG(仮)」の世界は正常化した。だが、戦いはまだ終わっていなかった。アマンテ、ソレラ、フラテロの三人は既にハハーデスを見限っており、自分たちの力で真人たちとの決着を考えていた。真人を呼び出したアマンテは、母親に抗うものとして最終決戦を挑むことを宣言した。 9巻 というのは方便で、ハハーデスにチート能力を奪われたアマンテたちに勝ち目などなく、ただ自暴自棄になって真人に突っかかって来ただけであった。拍子抜けした真人を差し置いて、アマンテたちはそのまま真々子たちと共にカーサーンの街で暮らし始める。そんな中、ハハーデスの口からアマンテたちの正体が語られた。アマンテ、ソレラ、フラテロの3人は元々ボツになったNPCだったが、ハハーデスがリデザインしてポータの護衛として実装を決定させる。だがストレスが爆発したことで「反抗期の子供のデータ」を植え付け、世界から母親を排除する刺客として世に放ったのだった。「生みの親」であるハハーデスとしては罪悪感を感じずにはいられず、だがアマンテたちと向き合うこともできずにいた。 一行はアマンテたちとHAHAKOを本当の母子にしようと尽力する。そこでクリスマスのゲーム内イベントを利用しようとするが、シラーセの罠によって真人と四天王の3人は赤ちゃんの姿となってしまう。真人は真々子にあやされ、HAHAKOもまた周囲の協力を得ながら三児の母親として経験を重ねていった。そんな中、甘え成分を欠如したモーネが暴走、魔神マムモーネとして覚醒してしまう。 子供たちに配るはずだったプレゼントをすべて奪われ、洗脳されたワイズ、メディ、ポータが真人と四天王に襲い掛かる。だがチームプレイでこれを攻略し、どうにか仲間たちを正気に戻す。だがしかし、今度は真々子とHAHAKOがマムモーネの手に落ちてしまう。マムモーネは世界中から「甘いもの」を集め、ダンジョンにコレクションとして並べていた。 真人たちと四天王の3人は手を組み、母親たちの救出へと向かう。道中、自身の姿を反映した分身に行く手を遮られるが、彼らは敵ではなく「甘えを受け入れられるか判定するための試練」であった。ワイズは傍若無人なママを許してしまう甘さを、メディはお母様に頼りながらも不満を溜め込んでしまったことに対する甘えをそれぞれ語り、試練を乗り越えた。 最深部にて待ち受けていたのは、真々子とHAHAKOを洗脳した魔神マムモーネであった。無敵状態に加え圧倒的な戦闘力を持つマムモーネになすすべもなく蹂躙される真人たち。しかし、魔神のパワーを引き上げているのが真々子とHAHAKOから供給される甘え成分にあるとポータが看破する。真人は真々子に攻撃されながらも、自分の中にある感情と向き合えず八つ当たりしていたことを語り、真々子ならきっと許してくれると甘えていたことを告げた。苦い思い出は過去のこととして乗り越え、母親に対する素直な言葉な甘えは真々子の洗脳を解かせたのであった。 一方、アマンテはHAHAKOを助けようと戦うソレラとフラテロを見て複雑な感情に駆られていた。理由はどうあれ、自分たちが犯した罪は消えない。そんな自分たちをHAHAKOが本当に許し、受け入れてくれるかもわからない。真人たちとは違い、母親と子供を繋ぐものもない。その場に佇むだけのアマンテだったが、HAHAKOが持つ母子手帳からこれまでの想い出が反映されたことに気づき、迷いを氷解。母子の絆が生み出した子の剣フィーリオを手に取り、魔神マムモーネを倒したのだった。 魔神から天使へと生まれ変わったモーネだが、実は「そういうテンション」になっていただけで魔神になっても人格はモーネのままだったという。モーネは罪滅ぼしとしてクリスマスツリーの飾りをやらされることとなった。 こうして戦いは終わり、HAHAKOと四天王は本当の意味で母子となった。生みの親であるハハーデスに対しても四天王たちは「恨んでいない」と告げ、その罪悪感を氷解させた。その後、HAHAKOたちは人知れず去ろうとするが、見咎めた真人たちに連れ戻され、共に聖夜を過ごした。彼女たちが母子同伴の旅に出るのは、もうしばらく時間が掛かりそうだった。 一方その頃、シラーセとハハーデスは、正式サービス化に向けた最後のβテストについて相談していた。ハハーデスが手にするタブレットには、【魔王降臨】の文字が刻まれていた。 10巻(短編集+書下ろし) リベーレとの一件が収束しても真人たちの冒険は終わらなかった。立ち寄った宿場町で母娘の諍いに首を突っ込んだり、真人と真々子の姿が入れ替わってしまったり、運営のプロモーションビデオの作成に協力させられたりと慌ただしく日々を過ごす一行。 そんな中、カーサーンの街に黒い影の怪物たちが跋扈するという事件が起きる。手当たり次第に破壊を続ける怪物たちは、攻撃を一切受け付けない。そこへホークと名乗る美形の少年剣士が真人たちに加勢。怪物たちが姿を消した後、真人たちはホークを伴って調査に向かう。なぜかホークは、昔から真人を知っているかのような言動を見せ、真人の成長を「父親のように」感動するということを繰り返していた。やがて真人たちは、怪物たちの正体に行きつく。それは母親によってオモチャを捨てられた子供たちの負の感情が具現したものだった。そのため攻撃に分類される手段では倒すことができず、負の感情を浄化させる必要があった。そこで真々子のスキル「母の再生」の力によって、怪物たちは浄化・転生し、元のおもちゃへと戻されたのだった。真人たちと別れたホークは密かにシラーセと接触する。ホークの正体は大好隼人。このゲームの運営に携わる経営コンサルタントであった。彼は息子の成長を通してこのゲームにはそれだけの価値があると判断。自ら魔王となって息子への試練として立ちはだかることを表明した。 11巻(最終巻) 勇者だけが入れるという天空の遺跡に入ろうとした真人たちだが、バグによってすべての人間の職業がリセットされてしまったため入場できなかった。改めて職業を決定させるべくシラーセの案内を受け、真人は会場でホークと再会する。ホークは転職によって魔王となり、「魔王隼人」として、父親としての本来の姿を晒す。困惑する真人だが、父親が「MMMMMORPG(仮)」の上層部として経営に加わっていたことを聞かされ納得する。 その後、魔王隼人は運営の刺客として真人に勝負を申し込む。手始めにNPCたちの記憶をリセットし、真人たちに関するすべての思い出を消し去った。ゼロからの人間関係で真人がどこまで頑張れるか見るためだという。真人は魔王隼人に言われるままギルドから依頼を受けようとするが、受付嬢は見た目だけで真人を素人と判断して小間使いのような仕事しか回さない。一方、魔王隼人はあふれる大人のオーラによって信頼を得、高難易度の依頼を回されていた。ワイズたち仲間も真人一人で頑張るべきだと考え、手を貸そうとはしなかった。父との差に当初は腹が立った真人だが、精一杯の見栄を張って不平不満を抑え、与えられた仕事を黙々とこなしていった。その姿に「手伝ってあげたい」と思ったワイズたちは再び仲間として真人に合流するのだった。 相変わらず依頼は難易度の低いものしか回してもらえなかったが、真人は次第に「将来の自分」を意識するようになる。「MMMMMORPG(仮)」から飛び立って大人としての未来を歩む。今までぼんやりとしたものだったそのビジョンが明確に形になりつつあった。そこで真人は、せめて身だしなみを整えて受付嬢と会うことを考え、真々子からもらったネクタイをつけてもらうことに。少なからず変化した真人の勢いに気圧された受付嬢は、ノリに乗って大げさに驚き、真人を見直すのだった。しかし回された依頼そのものは、やはり低難易度であった。 真人は密かに魔王隼人からキャバクラに誘われ、大人の悪い遊びを教えてもらうこととなった。一度目は地獄耳の真々子に聞かれ阻止されたが、二度目は真々子を騙してオカンヤーデに赴き、夜遊びにこぎつけた。ところが登場したホステスは、和乃やメディママといった仲間たちのお母さんであった。カジノでスって借金を抱えてしまい、支配人が経営するキャバクラで働くことになってしまったという。和乃にからかわれた、悪酔いしたメディママに絡まれたり、真人は美人なお母さんたちの魅力に翻弄される。だが今のオカンヤーデは、真々子の提案によって「母子のどちらかが遊んでいると片方が召喚されて顔を合わせる(説教をされて遊びをやめる)」というシステムになっていた。真人がそのことに気づいた瞬間、ワイズたちが現れて窮地に陥る。母親たちも言いわけご無用な状況にたじたじ。その時、魔王隼人によって母親たちは連れ去られ、真人だけ置き去りにされるのだった。 罰として真人は恒例の入浴会議の場で仲間たちの背中を流すこととなった。実は彼女たちは、父に挑む真人の真剣さに感心しながらも放置されたことで寂しさを抱いていたのだ。翌日、真人たちは魔王隼人の導きにより古代文明都市を乗せた天空の船へと足を踏み入れる。その中核を担う中央庁舎「シェントラーレ」を息子勇者と魔王の決戦の場とした。道中仲間たちの母親が現れ、ワイズは和乃とプロレスによるコミュニケーションをとってから超絶極大魔法を学び、メディはメディママからダークパワーの裏に隠された力の引き出し方を伝授される。ワイズとメディが授かった新たな力は、真人にとって最後の障害となる「最強の母親」に対抗するための手段であった。 そのことを知らず仲間たちと別れた真人は、空中庭園にて魔王隼人と対峙。父親超えを懸けた一騎討ちを繰り広げる。魔王隼人の力は圧倒的だったが、真人はズタボロになりながらも執念で立ち向かい、お互いの武器が砕け散ったことで引き分けとなった。勝負の続きは父親の提案により「お互いの生き様」で続行することとなった。父と子のように守る守られる関係ではなく、男と男として張り合って生きる。それが魔王隼人が息子勇者に求める絆の形であった。 実はこれらの仕込みはすべて真人に対する最終テストであった。政府としては子供がゲーム依存症になるようなものをリリースするわけにはいかず、真人が自分の意志で「MMMMMORPG(仮)」から飛び立てるか試していたのだ。既に親子関係が改善された真人たちには、「MMMMMORPG(仮)」が正式に稼働しても参加資格はない。それでもゲームをクリアするのかと問うシラーセに対し、真人は迷いなく「前に進むと決めた」と答える。後は天空の遺跡に安置された転送装置で現実世界に戻るだけ。 ところが真人の巣立ちを望まない者が一人いた。その想いは大地と海のエネルギーを用いて巨大な両腕を象り、船ごと真人を捕まえようとしていた。その元凶となっているのが真々子であった。真々子は真人が現実世界に戻ることによって「MMMMMORPG(仮)」内で築いた仲良し親子の関係が変わってしまうことを危惧していたのだ。 そのことに気づいていたシラーセと魔王隼人は、真人を試す一方で母親たちに事情を説明して協力を取り付けていた。HAHAKOと四天王もまた援護に加わり、大地と海の腕の迎撃に回っていた。自分が異変を起こしていると自覚した真々子だが気持ちを抑えることはできず、真人がゲームクリアを口にした瞬間、本気の勝負を挑む。究極の母親スキル【母の三位一体】によって巨人メガ真々子と化し、船ごと息子を捕まえようとする。こうして真人の将来を懸けた母子の追いかけっこが始まった。 母親たちの助力によりどうにかメガ真々子を足止めし、真人たちと四天王は天空の遺跡まで辿り着く。そこへ真々子の分身が追ってきたため四天王の三人が残ることとなった。三人ともこれが最後の別れだとわかっており、真人に対する感謝とさよならを告げた。内部では記憶を取り戻したモーネを始めにこれまでの冒険で出会った人たちが待っていた。彼女たちは声を揃えて「この世界で冒険してくれてありがとう!」と真人たちに感謝を示すのだった。 盛大な見送りに涙する真人だが、直後、メガ真々子が空間を切り裂いて現れる。すかさずポータのマスコットが巨大化してメガ真々子の両足を押さえるが、双翼を生やした第二形態に変身。空を飛んで真人に迫る。その時、ワイズとメディが母親から学んだ同時攻撃を放ち双翼を消失させる。再びマスコットに押さえ込まれたメガ真々子だが、今度は元サイズに戻りテラディマドレとアルトゥーラをリボン状に変化させた最終形態に移行。瞬く間に真人に追いつく。そして大地と海のリボンで真人を捕らえようとするが、真人はカウンターとしてカーネーションの花束を差し出す。そして「俺は腹が減った。家に帰って、母さんの飯を食いたい」と告げた。最愛の息子にそう言われては母として答えないわけにもいかず、続けてワイズたちからもご飯をリクエストされ、これまでに築いた関係性は現実世界に戻っても変わらないと真々子は納得する。和解した母子たちは転送装置の温かな光に包まれ、「MMMMMORPG(仮)」の世界を後にするのだった。 ゲームクリアから一ヶ月後。「MMMMMORPG(仮)」は正式に稼働し、「MMMMMORPG(正式)」として世間に知られていた。真人たちは大好家にて再会を祝したパーティーを開こうと準備を進め、下校中の真人をポータが迎え、スーパーでアルバイト中のワイズをメディが迎え、四者は久しぶりに顔を合わせる。メディの本名が「愛莉瀬(えりーぜ)」だと知ってからかうワイズと、ダークパワーを発揮してキレる寸前のメディ。現実世界でも彼らの関係性は変わらず続いていた。一行は大好家に入るが、先に来ているはずの母親たちの姿がなく、シラーセだけが優雅に佇んでいた。実は社会の闇をテーマにした続編の製作が決定し、母親たちはテスターとしていち早く「謎技術フルダイブ型オンラインゲーム」の世界に身を投じていたのだ。そのことを知った真人たちもゲーム世界へと足を踏み入れ、再び母親同伴の冒険が始まろうとしていた。
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